ストレスを緩和する機能性表示食品に配合されている成分の基礎知識

ストレスと無縁な生活を送るのが難しい現代社会では、ストレスケアが必要不可欠です。しかしストレスケアと一口に言っても、その方法は数え切れないほどあるため、なにから実践していいかわからないという人もいるでしょう。

そんな方に試してほしいのが、ストレスを緩和する機能を持つ機能性表示食品です。

ここでは、機能性表示食品に配合されている機能性関与成分について解説します。

機能性表示食品として水は使えるのか

そもそも機能性表示食品とは

ストレスを緩和する機能性表示食品の機能性関与成分を紹介する前に、機能性表示食品とはなにかを確認しておきましょう。機能性表示食品とは、特定保健用食品や栄養機能食品などと同様に「保健機能食品」に分類され、食品の安全性に加え、健康への効果を表示できる食品のことです。

具体的には「食事の脂肪と糖の吸収を抑える」や「ひざ関節の曲げ伸ばしをサポートする」など、多彩な機能を表示できます。機能性表示食品制度は2015年4月にスタートし、2020年2月には累計の受理数が2500件を突破。

現在も多彩な製品が販売されています。

機能性表示食品への理解を深めるには、特定保健用食品との違いを知ることが欠かせません。機能性表示食品と特定保健用食品の違いは、国の審査があるかどうかです。特定保健用食品を販売するには、消費者庁長官の許可が必要です。

一方の機能性表示食品は、安全性と機能性に関する科学的根拠を消費者庁長官に届け出れば販売できます。つまり個別の許可は必要なく、適切なステップを踏んで届出をすれば、機能性表示食品として販売できるのです。

機能性表示食品を選ぶときは機能性関与成分に注目

機能性表示食品を選ぶ際は、どんな機能性関与成分が配合されているかに注目しましょう。機能性関与成分とは、機能性表示食品に表示されている機能の根拠となる成分のことです。同じ機能を示す機能性関与成分でも、それぞれ特徴や体内での働きが異なるため、どんな成分が配合されているかによって製品のポテンシャルが変わってきます。

機能性関与成分についてより詳細な情報を知りたい場合には、機能性表示食品のパッケージに表示されている「届出番号」をもとに、機能性表示食品の届出情報を確認すると良いでしょう。消費者庁のウェブサイトで一般向けに公開されている「機能性表示食品の届出情報検索」に届出番号を入力すれば、機能性の評価方法や機能性に関する届出者の評価などの情報が入手できます。

ストレスを緩和する成分の代表選手!GABA

ストレスの緩和をうたった機能性表示食品にもっとも多く配合されているのが「GABA」です。GABAとは「γ-アミノ酪酸」の略称で「Gamma-Aminobutylic acid」の頭文字を取った機能性関与成分です。

自然界ではナスやトマト、ジャガイモ、カカオなどに含まれています。GABAは人間の体にもある成分で、哺乳類の脳や脊髄などの中枢神経に多く存在しています。GABAはストレスを抱える現代人の強い味方で「癒やしのアミノ酸」と呼ばれることもあるほどです。

「抑制系神経伝達物質」として興奮した神経を落ち着かせたり、自律神経のバランスを整えたりしてくれます。GABAはもともと体内で産生できる成分ですが、強いストレスにさらされると大量に消費され、たちまち不足してしまいます。

そのためストレス社会に生きる現代人の体は、常にGABAが足りていないと言っても過言ではないのです。GABAが不足すると、心身を興奮させる作用を持つ神経伝達物質が過剰に分泌され、人はリラックスとは程遠い緊張状態に陥ります。

これを防ぐには、GABAが含まれた食品を摂取し補うのが有効です。GABAが配合されている機能性表示食品には「事務的作業に伴う一時的なストレスを緩和する」や「睡眠の質(眠りの深さ・すっきりとした目覚め)の改善に役立つ」などの機能が表示されています。

サプリメントで摂取したいL-テアニン

ストレスの緩和をうたっている機能性表示食品の機能性関与成分として、GABAの次にメジャーなのが「L-テアニン」です。L-テアニンとは緑茶に多く含まれるアミノ酸で、お茶のうまみや甘みをつかさどる成分として知られています。

特に、玉露や抹茶など高級なお茶に多く含まれている成分です。L-テアニンを摂取すると、脳がリラックスしているときに分泌される脳波(α波)が増加します。それと同時に、心と体をリラックスさせる副交感神経の働きが優位になります。

これらの作用により、L-テアニンには気持ちを落ち着かせたり、寝付きを良くしたりする効果が期待できるのです。L-テアニンを摂取するには、お茶を飲むのが手っ取り早いと考える人もいるでしょう。しかしお茶には、L-テアニンと同時に「カフェイン」が含まれています。

カフェインは覚醒作用を持っているため、L-テアニンの効果を打ち消してしまう可能性があります。もしL-テアニンの効果を最大限に引き出したいなら、カフェインを含んでいないサプリメントでL-テアニンを摂取すると良いでしょう。

L-テアニンが配合されている機能性表示食品には「朝、目覚めた時の疲労感を軽減する」や「一過性の作業などによる精神的なストレス感を和らげる」などの機能が表示されています。

ストレス緩和と同時に整腸効果も期待できる!二つの乳酸菌

ストレス緩和をうたったヨーグルト製品に配合されているのが「CP2305ガセリ菌」や「L.カゼイ YIT 9029」といった乳酸菌です。

CP2305ガセリ菌は、ストレスによる睡眠障害を緩和する乳酸菌です。CP2305ガセリ菌の摂取によりストレスが緩和されると、ストレスが原因で起こる下痢の改善効果も期待できます。CP2305ガセリ菌が配合されている機能性表示食品は「心理的なストレスを和らげ睡眠の質(眠りの深さ)を高めるのに役立つ」や「腸内環境の改善に役立つ」などの機能が表示されています。

L.カゼイ YIT 9029は、ストレスを抑制したり睡眠を改善したりする効果が期待できる乳酸菌です。具体的には、唾液中のストレスホルモン(コルチゾール)の濃度が上昇するのを抑制したり、深い眠りに入っている時間を長くしたりする効果が報告されています。

L.カゼイ YIT 9029が配合されている機能性表示食品は「一時的な精神的ストレスがかかる状況でのストレスを和らげる」や「睡眠の質(眠りの深さ・すっきりとした目覚め)を高める」などの機能が表示されています。

強力な抗酸化作用を持つSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)

ストレス緩和をうたっている機能性表示食品のなかには、珍しい機能性関与成分を配合している製品もあります。その成分がSODです。SODとは「Superoxide Dismutase(スーパーオキシドジスムターゼ)」の略で、活性酸素を除去し細胞を損傷から守ってくれる酵素のことです。

精神的・肉体的ストレスが過剰になると、体内では活性酸素が増加したり活性酸素に対する防御力が低下したりします。この活性酸素を除去してくれるのがSODです。SODは体内で作ることも可能ですが、40歳を境に産生量が減少します。

そのため活性酸素に対する防御力を保つには、食品でSODを補うのが重要です。SODを配合している機能性表示食品は「日常生活で自覚するストレスを減少させ、精神的・肉体的疲労感を軽減する」との機能が表示されています。

まずはGABAが配合された機能性表示食品から試してみよう

ストレスの緩和を機能としてうたう機能性表示食品の多くは、機能性関与成分としてGABAを配合している製品がほとんどです。機能性表示食品でのストレスケアを検討している方は、まずGABAが配合されている製品のなかから気になる製品を試してみると良いでしょう。

もしGABAを配合する製品でストレス緩和の効果が実感できない場合には、L-テアニンやCP2305ガセリ菌など、他の機能性関与成分が入った製品への乗り換えを検討してみてください。

投稿日: